獅子座ものがたり/千波 一也
その夕刻は
果てなく寂しい金色でした
誰か、
いや、何かに
からめとられたような拙さが
その時ばかりは輝いて
どんなに小さな約束ごとでも
あなたにやさしい髪飾りとなって
わたしは長く
見惚れていました
もう、
どこへも逃げられない花の名は
儚いからこそ残酷で
それゆえ甘く、芳醇で
「美しい」だなんて一言に
何度となく
咲いては散って
散っては咲いていくのでしょう
瞬きの間に
夜がしっかり満ちゆくように
海をめぐる水たちは
青く描かれることが多いけれど
あなたやわたしの
身をめぐる水たちは
どんな色に落ち着くべきなのでしょう
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