水の上の透明な駅/カワグチタケシ
俺たちはもうそんなに遠くへは行くことができない
俺たちにはもうそんなに力が残ってはいないし
それにもうじゅうぶん遠くまで来てしまったから
石段を降りた水面の高さから
今度は二段昇った水の上の透明な駅
のプラットホームで列車を待つ
君を少し離れた丘の上から見ている
満月が西の水平線に沈みそして
花火が上がる
その振動が大気を伝わり暗い水面を震わす
水面で一瞬震えた花火が水の底へ沈んでいく
もしももっとずっとずっと高いところ
たとえば火星からこの惑星を眺めたら
いくつもの花火の爆発は と君は想う
小さな発光ダイオードの点滅みたいに見えるのかな
クリスマスのイル
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