隙間/松本 卓也
 
記憶の引き出しを一つずつ弄り
気持ちに相応しい言葉を探した
見つからない訳でもないけれど
何もかも青臭くってたまらない

やれタイミングだとか気分とか
いつも誤魔化されてばかりいて
小洒落た気遣いの一つくらいは
見せてみたいつもりで居るけど

歯に噛みの笑顔が恥かしくって
くだらない冗談で覆い隠すなら
貴女がいつも誰かに向ける笑顔
此方に向けるのは分かっている

どうか一つ願いを聞いておくれ
貴女の瞳に映る不安定な肖像に
貴女なりの意味を与えて下さい

どうかただ笑顔を向けておくれ
その声を聞けない夜半の隙間は
孤独が敷き詰められるのだから
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