たゆたう、もの/松本 卓也
 
する物語の中で
英雄を演じる役者より僕は年老いてしまった

未だ究極に自分の命より大切なものを
何も見つけることが出来ないで居る
だからこその孤独な空間
それゆえの心根の自由なんだろうけど

もう寂しさを紛らわす為に出来ること

例えば酒とかさ
例えば電子遊戯とかさ
全部が全部忘れる為の作業じゃないか

組み上げる事だって出来ないこともない
だけどそんなものただの誤魔化しで
頭を下げ取り繕い苦虫を噛み殺しながら
連続する生きていくだけの時間

風に吹かれただ揺れるだけの我が身に
どんな意味を乗せることが出来るというの
運動不足と怠惰で膨れた体重のわりに
存在はただひたすらに軽く薄く
価値も重さも無くし
現に漂うばかりで
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