夜/雑踏/はるな
「脚のながいスツールのうえで複雑な味のカクテルを飲んでいるってだけで、夜を知った気になるのはやめたほうがいいわ。」
「認識を変える必要があるかもしれない。お互いに。」
「世界は熱湯のなかにあって、それが茹だるのをいまかいまかと待ち侘びている人種だっているのよ?」
「人々はどうして理解しあわなければならないと思い込んでいるんだろう。ピューマと亀を同じ鎖に繋いで散歩できるわけがないのに。」
「私の嫌がらせは陰険よ。私があなたにそういう行動を起こさなければいいなと思っているけど、すでに手遅れかもしれない。」
「とにかく少し落ち着いた方がいいよ、桃の種から薔薇の花は咲かないんだから。」
「
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