夏空/紅糸
どんな優しい言葉を連ねても
ぼくらは生命を奪い続けるしかないと思うと
赤黒い口がとても悲しくなる
ぼくはとても綺麗だったはずなのに
とても青かったはずなのに
どうしようもなく
汚れてしまったのだから
言い訳なんていくらでも言えるのだから
何もかもが美しかったのは本当だったのか
ぼくにはもう解らない
透明な秋の夕陽に
言い訳なんかはできなくて
何時も泣いていた
家に帰ることもできなくて
水面に映った空をみていた
真っ青な臨界の空に吸い込まれ
真っ赤なダリアに溶けてしまった
ぼくはもう帰れない
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