エレジー/相田 九龍
それは優しく
ゆっくりと開く花だった
何度も地面を打つ雨に
流された花びらの
消えて
僕は
それを全部覚えてる
袖口から
千切れた会話の続き
明日が
追いかけてくる夕方
張り詰めて
君が思い出したこと
忘れないで いてよ
愛でる指先
ようやく 瞬間が
ゆっくりと巡って
ねえ
優しい
君が瞼を閉じたとき
僕らは頬を擦り合わせて
君が瞼を閉じたとき
世界は春の歌に浸った
ねえ
忘れないで いて
流された花びらの
消えて
僕は
それを全部覚えている
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