ぼくは遠い火になりたかった/ホロウ・シカエルボク
と燃える火は
ただたんたんと生きていることを
ひとりごとのように
伝えようとする火だと
ぼくは
遠い火になりたかった
雨が降ってもやまない
かみなりが落ちてもひろがらない
どんな原因にも寄り添わない
スタンドアローンな
たんたんと燃える火
もうこれ以上
窓の外を見るのはやめよう
もうこれ以上
眠れない時間に名前をつけるのはやめよう
ぼくは光源とはちがう火を手に入れて
ぼくだけの方法をつかってともして見せるのだ
それを何と呼べばきみに伝わるだろう
ぼくは
窓の外を見ることをやめた
その火は
てのひらにあった
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