満月/天野茂典
ラベンダー畑
衣装ケース5箱分の虹彩
押入れいっぱいの手紙
パソコン
ワープロ
レコード
CD
録音テープ
(自作朗読詩集2冊分や音楽のFMラジオからのダビング
など路上派詩人と呼ばれた詩集の大成までタイピングしてあったのだが
(それは300ページを優に越えるだろう
燃やしてしまった
なによりも住所録が痛かった
私は大切ななんにんもの人を失った
自分の過失とはいえ
私は路頭に迷い
弟と
妹の家に世話になりながら
しばらくを過ごした
火は家から出なかった
類焼はまぬかれた
助かった
そうして私はすこしづつ狂ってい
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