ループクリーナー/愛心
「頑張らなくていいよ」
君はいつもそう言った
「頑張れ」「頑張れ」「頑張れ」と 応援している人に雑じって
「頑張らなくていいよ」「頑張らなくていいよ」「頑張らなくていいよ」
一際大きな声で繰り返していた
異端を睨みつける数多の目に いくら囲まれ 脅されようと
その無垢な目を見据えて 叫び続ける君の顔は
いつだって必死で 辛そうだった
「頑張らなくていいよ」
「貴方はもう十分頑張った」
「これ以上頑張らなくていいよ」
君の「頑張らなくていいよ」は
本当に「頑張った」人に贈られる
君の優しさだったのだと
今なら わかる
どこまでも どこまでも 果てはないのだと
自分に言い聞かせ 走り続けた僕だから
「頑張れ」は 欲しくない
「頑張らなくていいよ」と言って 抱きしめて
壊れる前に 優しく 囁いて
君のその声を聞いたら また「頑張る」から
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