弁当やの麦茶/乾 加津也
いつも来るものだから
「これおまけっ」といって小パックのおかずがポンとおかれた
「いえ、ダイエットしてるので」
なんだ読めない客だねって顔して引き下げて
それでも笑ってかたしを続けた
いつかは朝から土方のおやじがこえをあらげた
「おーい、麦茶ないぞ」
キーパーを傾けてもでなかったボクの次の客である
「はい、ちょっとまってね」
きもったまの前掛けがすぐに出てきて懐に大きく抱え込むと
すぐにキンキンに冷えた麦茶が重いたるの中で揺れながら現れる
おやじはごくごくのどを鳴らして、たてつづけに三杯は飲んだ
カウンター越し厨房の前掛けが ケタケタゆれながら見送った
卑猥な冗談の
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