探偵ー朔太郎さんに捧げるー/……とある蛙
(暗転)
して突然明るくなった部屋には
一体の死体
もちろん部屋には内側から鍵が掛かっており
完全密室殺人事件
窓枠の中の夜空には
取って付けた様な満月
(なぜ夜なのだ)
鍵を壊して室内に入った探偵は
当然のようにチェックのハンチング
セオリーどおりに巨大な虫メガネ
思慮深げに死体を見つめる。
絞殺死体だ
首に鬱血した縄状の跡
チアノーゼ状態
探偵は徐おもむろにパイプを吹かす「主観的真実の表現は他の者が客観化することによって初めて詩になる」
(いいのかい、現場で!)
すべての鍵は閉まっている
窓の外は垂直な壁面
どこにも手掛かりは無い。
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