熱帯夜/木屋 亞万
 

白球を追う
その中に小さな骨が入っている
太陽は肌を溶かしていく

皮膚を腐らせて
骨がむき出しになった女は
化粧の下地で隠そうとする

服を着たままでも興奮していたものが
下着姿でないと刺激を感じないようになり
そのうち真っ裸でも何とも思わないようになる
「骨になれれば」と言って恋人は消えた

祭囃子の音はするけれど辺りは暗い闇ばかり
花火の音は聞こえてくるが、夕立はまだ止んでいない
朝になっても夕暮れが終わっていないので
たぶん今年の夏休みはまだ始まっていない

何事にも熱くなり過ぎないように
熱中症で死人が出て騒ぎになるくらいだから
枯れた木のよう
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