?5-4-3-2/鈴木 西瓜
ガンプピストルで
照明弾をあげ続けた
それはそれで面白かった
夜の海で太陽をうちあげていたと笑って自慢する
さまよう廃船の望みきいて
廃船をお城にしてやったのも笑えた
まるで自分が巨大なヤドカリになったようだ
わたしは地動説ともっかどごんすいを信じる愚者である
波の数だけのへらずぐち、嵐のようにあまのじゃく
身にまとわりついていた海が
今日はかるすぎて、
沈んだ街灯の並びをポーン、ポーンと天狗のように跳ねてみる
今日はとてもいい
海面をオレンジとリンゴで敷きつめたいたずらをもう一度やってやってもいい
ドレスの雲たちと踊ってやってもいい だれかれかまわず喧嘩も買ってやれる
陸の歌は忘れちまったけど
海と波のビートはわすれちゃいない
この海底より船が走る
再び海を飛ぶために
一発の照明弾『?5-4-3-2』装填する
17歳からの取って置きの一発
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