ブリ大根/
たもつ
大根の上に
小さな虹がかかっている
きみは虹を切らないように
器用な手つきで
大根を切っていく
飛行機がいつもより
低く飛んでいる音が
屋根の上にある空から
聞こえてくる
帰りたい、と
きみはつぶやく
幸せも不幸せも
ごちゃごちゃのごった煮になって
そして変質し続ける
そんなものに翻弄されて
毎日がある
本当は虹なんて最初から無かった
ただぼくらは
虹が見たいだけだった
今日の夕食はブリ大根である
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