狭間に住まう声/高梁サトル
声
八月の
舌の上で溶けてゆく氷
その所作
吐息
歯
の並びを
ひとつひとつ
読み上げる
その要約の中に
静かに埋もれてしまいたい
針を
正午に合わせた時計が
生物的な誤りと
機械的な正しさの間で
鳴っている
・
メランコリックな竪琴の
音が窓辺に漏れる頃
さびしいと呟き眠る子に
真白なシーツを掛けながら
陽を含んだ唇で
おやすみと囁いて
一枚の銀貨を右の掌へ
「私が誤りを犯さない為に」
そこにあらゆる負い目を封じ
もう一枚を左の掌へ
「あなたが正しさに溺れない為に」
ひとつの起源をイメージしながら
けして重ならぬ
伴侶へと誓う
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