ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
 
ってくれてたんだ。
『そんなに悩むことはないよ』って最初、喋りかけられた時はビックリしたけど、でも、少しは心の準備はできていたかな。雨の降ってる日で、昼ごろだったかな、僕が溶接してると、だんだんジョン・レノンの口が開き始めて、何か言い出しそうになってたんだ。でも、溶接を続けてるとまた彼の口が閉じてしまって、目だけは真剣な顔つきに変わってしまう。その目は僕の心の中を見透かそうとでもしているように、細められ、僕はすっかり上気してしまったよ。なにはともあれ、その日から数日、ジョンは僕に話しかけてくるようになったんだ。気さくにさ。
『お前いつまでこんな仕事、やってるつもりなんだ?』ってさ。
『さあ、
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