ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
いったんだけど、けっこう人がいるのよね。それでいい場所探してたらさ、道に迷って、帰り道もわからなくなったの。日は暮れるし、おなかは減ったし、トイレはもうすませてたんだけどね。ずっと、ずっと歩いてたら、岩壁と岩壁の間がやっと体が入るくらいのとこがあって中を覗いたら城門みたいなのが見えたの。近くまで行ってみたら階段があって、下におりたら、だんだん光が差し込んできたわ。見晴らしがいいとこに出れて、やっと家に帰れると思ったんだけど、なんか変なのよね。だってそうでしょ、日が暮れてたのに、ここは明るいじゃんって思ったし、建物なんか地中海の家みたいにカラフルなのよ。石造りでさ。それでも先へ先へって、歩いていった
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