ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
まらないんだ。ヒョウテンカ2℃でバナナで釘が打てるんだ! 嘔吐したい。セックスしたい。
『ちゃんと釘が打てるようになったじゃねえか」
『いや、まだまだです、おやっさんみたいにはまだまだ』
『おめえいい大工になるよ』
だが、だけど僕はおやっさんまで血に染めたんだ。まがった鍬はエモノを求めつづけて、だが、そうだ見ろ! いま、僕のまわりには誰もいない! もう誰も僕をはげますこともなく、あるのはただ沈黙し、貝のように口をとざしてしまった、目に見えるものすべてが、ただ一つ残された聖書を手にとり、すがりついてはみるが聞くとこでは、7世紀のなかば聖書からスケベな言葉が、高僧たちによって一字一句にいたる
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