ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
 
った回数券ぶんも乗らないといけないことになるしなぁ。回数券を明日も使えるようなシステムだったらいいのにな。なんで本日に限るんだろうか。
 まあ、ちょっと、ベンチに座ってタバコでも吸うか)
 僕を乗せているオレンジ色のボックスが下まで戻ってきた。太りかけの青年が慣れた手つきで動いているボックスのドアを開けた。
「ありがとうございました」
(って、何度言わせれば気が済むんだよこいつは。どうせまた乗るんだろてめえ。あれ、あいつ今日はもう乗らないのか、……ああ、タバコ休憩か……、俺がタバコ吸いたくても我慢してるってのによ……、ひきこもりが……、働けやてめえ……)
 昔、動物が入れられていた檻があ
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