ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
なた最近、詩をおかきになられていないようね。酒ばかり飲んで」
少したじろいで、狼狽を隠そうと、
「いや、そんなことはない。書いてるよちゃんと、下界で」
「あのあなたが守護してるっていうあの男を通して?」
けむにまくように、
「そう、誰にともなくね」と、そっぽをむく。
「娘さんをほっぽって?」
牧神が、「いやそんなことはない。あの娘はかならずうまくなるんだ。わかりきっている」
女人が、「少女しだいじゃない、そんなの。途中で投げだすかも知れませんわよ。エレクトーンより楽しい遊びを見つけて」
「いや、そんなことにはならないよ。もっと美しくもなる。見目麗しくね」
会話もとぎれ
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