ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
る都からです。今は見る影もありませんが」
老人は星を見つめながらそう答えると、窓から光をもらす家々の間を通り過ぎ、星明りを頼りに荒野の中をさ迷い歩きだした。
「一体いつまで旅を続けなければならないのだろうか…… 一体何度、飢えをしのがなければならないのですか…… 教えてください…… 神さま……」
7 私のいないくだらない下界。アップルティーは婦女子の飲み物か?
すまし顔の少女がエレクトーンを弾いていた。狙い通りの音はなかなか出ずにいたが、それでも彼女は練習の手を休めることはなかった。今は下手くそでも若いうちにたくさん弾いておかなくちゃ、いつか華麗に弾きこなせるようになん
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