イデア流星群 (想起させるものに、忠実に)/乾 加津也
 

わすかの傾きでおれそうになる(離れていける?/まだ なまえ)



あ す の わ た し を み る



内省のこずえ

ひとつの いきにもみたないしぶきの淵で
しらみがかった舌をくべるオロチ(いきもの)も
ちを吐き、ちを這い、「知」の分別をまえにのたうつから

きがつけば
おのれの寝台をはぐくみよこ、たわり
腹をみせ鉄のあじを夢想して輪、唱する
(腐りのもとを、ひろってたべた、=童謡)



◇ ◇ ◇



それから
ひさしく待つ(ていどではないくらい)
すると
そこはとほい夜なのだろう
いつも視力は弱い
あいまいでも わたしは
まだ知られざる じつざいに
かるく吊るされた流星群をみ、あげていた
(が、そんなふうにひとりはこわい)
では次の幕をひろげよう
ひとつの中性トカゲのような
やはらかなマナザシによりそって
両手で顔をおおうしょうねんでも、いい

うるむとあたたかい
はじめてのなみだ



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