summer'10/本木はじめ
 
金髪のショートヘアーのきみを見て今年も夏の訪れ想う


ひらいたり閉じたりしてるきみの目に澄んでる青い亡霊がいる


「失った夕焼け」「再生不可能な夏」朝からネガティヴ連想ゲーム


「コンビニに行こう」「参ろう」おにぎりを片っぱしから並び替えよう


ぼとぼととアイス飛び散るアスファルトきみの背中をつたってく汗


冷蔵庫ごっこをしよう粗大ゴミ置き場で僕ら口あけたまま


見ることのできない夏をつかまえて満ち溢れない程の幸福


一瞬と思っているの?喪失はその瞬きが支配している


田舎へと逃げよう生活感のない生活捨てて緑、青、空


八月の闇はほのかに明るくて僕ら戸惑う夏のトンネル


勢いで言ってしまった「黙れボケ」あれからきみは無口になった


風のない午後の空き家の庭にただガーデンチェアーが老婆している


夏空を背景として縁側に座る僕らは写真を拒む


それぞれの夏に多少のズレあれどひかりかがやくせつなさがある





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