青く垂れた釣り糸を/番田
朝焼けとして川辺に立ち、私はそこの炭に焼き芋を自分の消えていく寂しい影として見ている。私にはどこか遠くから焦がす匂いが漂ってくる。魚が遠くで跳ねている。私は白いボートの流れていく姿をそこに見た。私はそこに釣り糸を垂らしているわけではなかった。私には陰の木は本当に涼しかった。
どこの跡から道に残る自分が繁みをやってきたのだろうと、じっとそこに私は眺めている。オレンジ色の光が差している。そこで私は友人の今頃楽しんでいるであろうことを思い浮かべる。私の手にはそこに何も見つからなくなっている。私は私の釣り竿を持っているわけでもなかった。昆虫採集の網も背中には差してはいない。
ぼんやりと呼吸は私をそこで定義する。三歩歩いたなら、そこで吐くことを偶数、吸うことを奇数であるとする。定義すること自体がそこから間違いなのだと私には気づかされる。歩いて行こうと思う。そして何もかも山々の何もない空に忘れて、米国をただ思い浮かべる。
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