白日/salco
 
二,三,四
故郷から一歩一歩遠ざかる
お前の足が国の楯となる
足が無ければ帰れない
どっさりと草の中へと倒れ込む、どっさりと
白い花が兵隊の優しい枕となるだろう
緑の鉄の兜の下で綺麗な赤に染まるだろう
遠国の野原や丘や沼地の小さな花々は
毎春、お前の最後の目の当たりに咲くだろう
足跡の絶えた場所で頭を垂れて

一,二,三,四、夕陽の沈むその前に
掻き消えたお前の叫びを呼び戻せ
雲が聞き、風が消し、時が忘れたお前の叫び
武骨で器用なその手はどこへ?
お前は大層、物を造るのが上手かった
だが恋人も母親さえもがお前の墓から歩み去る
ああ、立派な立派な栄えある旗にくるまれて
空っぽな棺の中の赤ん坊
行かないでくれ、と叫んでみろよ
俺を一人にしないでと叫ぶんだ
取り返せ、
俺の未来を命を返せと言ってみろ!

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