かっぱっぱ/藤鈴呼
夏 それは 虫かごの季節
緑色の 四角い プラスティック製の 住まいに
友達を 集めようと 躍起になる
自分の背丈よりも長い 網を手に
上手く バランスの取れない姿は
ヤジロベエのよう
天秤に かけなければ ならない
切羽詰った よしなしごとも
きっと なかった
網が 喰い千切られて 悔しい涙も
キラキラと 光ってた
捕まえられなかった 音の鳴る 羽根を
ゆっくりと 見上げれば
小便を 引っ掛けられて 失明するんだよ
そんな 迷信だって 知らずに
木に止まる瞬間を 今か今かと 待ちわびて
あの頃の 一日は 長過ぎて
人生の 棒グラフなんて
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