これ以上小さくなれないから/鵜飼千代子
 
サイズを合わせろと木端にダメだしされて
身体中の関節を外してコンパクトに納めたけれど
これ以上小さくなれないんだよ
もうそれじゃ
何がしたいんだかわからなくなっちゃうんだよ 

掴むものには
タイミングや巡り合わせというものがあって
その時であれば飛躍に繋がっても
時期を外せば別のものの組み合わせで
生きて行けたりもするから
能力のある者は、差し出すのも委ねるのも
とてもスマートで巧みな気がする

なんだか権利のない者がどこからかやってきて
「もっと小さく!」
「もっと小さく!」
「管理出来るように、もっと小さく!」
と姦しいけれど

これ以上小さくなれないから
ごめんなさいを言って、
ゆっくりとねじ曲がった身体を伸ばしてみた

 バキ  バキ
  バキ   バキ

関節がはまっていくよ

「あー、窮屈だった。」

ラジオ体操第一をやりたい気分だ


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