真夜中の箱の中/ホロウ・シカエルボク
 



ひかりの加減を気にし過ぎるとき、音楽の音量を気にし過ぎるとき、階下の物音を気にし過ぎるとき、窓の外のトラックのバック警告音を気にし過ぎるとき、しんとしたノイズを求めて、しんとしたノイズだけを求めて、真夜中のことを思う、まだなにも動き出さない真夜中のことを、筋肉と神経と内臓がぜんぶ死んでいて、脳髄だけがらんらんとまばゆい何かを放出し続けている時間のこと、そうだよ、地球創世の雄々しく繊細な鼓動はすべて、真夜中のなかでたえず繰り返されているんだ、日常の中で疲労している、拾うものが何もない日常、かといって路上ばかりを見続けて歩いているのかといえばけっしてそんなことはなく、あれやこれやと目移りし
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