お茶の水橋から/……とある蛙
 
お茶の水橋から聖橋
まぁるい大きな輪っかが見える。
下半分は揺らめいて
昼間に鎮座する月のよう

にび色の神田川は足がすくむほど
高い地点からしか眺められな

その水面をじっと見つめると
このまま落ちてなるものかと
思いはそのまま橋桁に
宙ぶらりんに吊り下がる。

渡る人皆足早で
吸い込まれないように心して
橋の端をきっと睨んでただ直進
川が足下にあることなどは
忘れたかのよう 渡ってゆく。

昼間の月は鈍い色
夜には水面に揺らぐ月が
ゆらゆらゆらゆら
輝いているが、

橋の上に輝く月は
聖堂のもり杜に
青い光を注ぎながら
場所を観るには暗すぎる。

水面も橋も空の上
ゆらゆらゆらゆら暗すぎる。
見ている自分もゆらゆらと
明日のことなど考えながら。

欄干に肘つき眺めてる。

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