朝/salco
 
ことの不如意に早くも煩悶を感じているのだ
何故なら薄明を小さな翼で飛び回る、
かつてこの子も天使であったから
その頃は、どうしたら良いのかわかんないなどという
不条理の苦しみは存在しなかった
そしてむずがる声は論理を組み立てることがまだできず、
愛らしい頭は深呼吸という欺瞞を知らない
腰を若干反らせて後ろを歩く若い妻は
早くも腹に3人目を宿しており
細い脚でけだるい歩みを運びながら、
生活で一杯になった頭は夢見る暇もない
美しかった女は
こうして子を産むたびに乾いて醜くなって行く
骨格の故か労働に心身を侵されもせず、
呑気で我慢強い夫はベビーカーを押して前を歩く
不如意の厖大な時間を、
生活という恐るべき煩瑣にさらされる毎日を。
それが一体何だろう、
どうせ人生はおのれと他人の尻拭いの連続だ
それなら日々3人の子に肉を食わせて服を買い、
いずれは骨を拾ってもらう帰結が正しい

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