ウイスキーグラス/
乾 加津也
さいきんわたしの酒の量を気にする妻が
ウイスキーグラスを買ってきた
キッチンの影はいいわけをする「やすかったから」
目線より高く眺めまわして高価なしろものにひとめぼれする
以来
ビールもワインも
ウイスキーグラスの中で琥珀色に輝くが
今度は妻は詩の心配をしているという
「あまり深入りしないでね」
そうだね、こらずにほどほどに?
でももう十分、きみに深入りだよと
残りの人生のみほしそうだ
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