遠いかもしれない、未来のはなし。/チアーヌ
いたころの生活なの」
「それは面白い。でも大変だね、夢といえど。悪夢でうなされるの?」
エリはにっこり笑って、ユージを見つめました。でもなぜか、悲しくなってしまいました。
「そんなことないのよ。幸せなの。夢の中では、わたし。なぜかしら」
エリの目から、涙がこぼれました。
「エリは、少し、原始的なんだね。まだ涙が出るなんて」
ユージは気の毒そうにエリを見つめました。
エリも、ふと、夢から覚めたように、気を取り直しました。
「そうね。わたし、妊娠のせいで精神が変容しているらしいの。夢をみたりするのも、涙が出るのも、そのせいらしいの。おかしいよね」
「だいじょうぶだよ。出産が終わ
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