保存しますか?/ホロウ・シカエルボク
夢のディティールは細かく砕け
洗面台の洒落た開き戸の内側へ流れ込んでいく
今夜下水路に住む鼠のうちのどいつかが
その夢を引き継いでくれるだろう
嘘みたいな保証
嬉しくなさそうな笑みを終始浮かべたまま
薄いけど硬い髭を剃った
唇の端を少し切ったけれど
それに腹を立てるような
情熱はここには余っていなかった
洗面台を洗いながら
つきあいがなくなった
友達のことを思い出していた
そいつの部屋は北向きで
いつでも薄暗い影が部屋の中に住んでいた
明かりをつけてもそれは消えなかった
それは観念的な影のようなものなのだ
その部屋の洗面台には
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