夏枯れ/黒木みーあ
 


朝踏みつけにした
雑草の類が
帰宅したわたしを出迎える
見たことのない色を咲かせて

そういえば今日は蟻の行列をかわして
いくつかの水溜りで足を汚した
後悔しなくて済むように

わたしたちは決して
三半規管が暑さでおかしくなっても
背中は丸めてはいけなかった


ひこうきぐもが空に描いた線を辿る
ああ明日は雨ですね
そんな言葉に夏が浮く
頭の端で、遠くぼやけて

背中を押される
それはいつも気のせいで
よろけた分だけ
かなしくもなる


青いそら
にゅうどうぐも
にゅうどうぐも
ごろごろごろごろ

低く鳴る、太鼓の振動
今日は祭で
明日も祭
遠くの方から
湿った風が過ぎていく

明るく染まる日の終わり
星が出るには
まだ早い






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