別れの記憶/吉岡ペペロ
はじめてふたりで話したとき
きみは敬語をつかっていた
アドバイスが出来たのか忘れたけど
はじめてプレゼントをもらったとき
それはハンカチーフだった
どこにしまったかは忘れたけれど
はじめて手料理をたべたとき
意表をついたタイカレーだった
どんなコメントをしたかは忘れたけれど
はじめてふたりで夜についたとき
仕草だけははっきりおぼえている
ぼくのパンツの色は忘れたけれど
はじめて結婚の話をしたとき
別れのときが近づいていた
あんな純情なんか忘れちまったけれど
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