ひと/たもつ
 
 
 
手の子どもが
粘土をこねている
いくらこねても
粘土は粘土の形にしかならない
粘土を裏返してみる
にぎやかで美しい色の都会が現れる
足の子どもは
都会に行きたがる
昨日草むらの雑草で
切り傷をたくさんつくったばかりなのに
でも手の子どもは
耳の子どもが
「ひと」という言葉を聞くと
悲しいような気持ちになるのだった
  
  
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