めぐり ひかる/木立 悟
水に噛まれ
午後に噛まれ
音は深く
さらに深く
首輪をちぎり
血の手形をまとい
空へ空へ持ち上がる径
棄てられた営みのかたわらをゆく
冬へ降る冬
色のない虹をすぎ
鉱脈を呑んだ静かな水の
遠い遠い緑を聴く
鳥は去り
雲へ雲へ鳥は去り
やがて雲を連れ
海を分ける
終わりの日の
虚とまだら
終わりゆく日の
従者のない火
輪が痛い 鎖が痛い
肉をめぐる 暮れが痛い
ひとつの色
直ぐに 直ぐに
血を交わしたくちびるや
喉へ流れ落ちるもの
行方たどる舌
淵へ 淵へ
ほつれ ほつれ
硝子はじく手
時計は遅れ 夜になる
常に常に 夜になる
鳥は還る 一滴の星
水と光を
つらぬく日
つらぬく日
戻る 編 削 Point(4)