クマさんのパン屋さんとウサギさん/ふるる
 
た。
クマさんも、椅子にどすんと腰掛けました。
「水、飲む?」
「ううん。」
ウサギさんは首をふりました。話すこともないので、二人はだまってかまどの火を見ていました。かまどの火を見ていると、クマさんは、火に引き込まれるような、ぼーっとしてしまうような、火のダンスにうっとりするような、ぱちぱち言う、枯れ枝が燃える音に聞き入ってしまうような、また、仕事場にも引き戻されるような、感じがするのでした。
ウサギさんも椅子に腰掛けてぼーっとしていました。そのうちきょろきょろしはじめ、パンをこねる台に少し残っていた、パンの生地を白いモコモコしたちいさな指でつまんで、指先で丸め始めました。ねりねりねりね
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