ブラック・コンディション/乾 加津也
わたしの黒が
ひかりを拒んですすみつづけた
広大なじゆうで感じた
はじめての深海のおもみに
いまにも息をつぶされそうな魚みたいに
いのちの淵からあえぐ自分がよぎった
黒いへやでわたしは眠る
たくさんの手とそれを作る手とそしてその腕と
会話したところで底なしの床がひらく
(もどるしくみはりかいできない)
珈琲の漆黒はわたしにしみこんだあと
とうめいな黄色い成分となって出ていくまでのあいだ
そとに向かってひらかれる瞳孔に集結して
たゆみない偏光処理と脳内イメージに励む
黒がすべてのひかりを吸収するというなら
ひかりと色を自在に操る皇位のたちば
昔からひかりの
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