忘れてくことすら忘れ書きとめる言葉は記憶のいきれ なごり/は やしや も り
に堆積していくものだと、知った。
それからとうとつに、詩作をするようになった。
具体的には短歌を作るようになった。
状態として何かを書きとめて、いく。
残してく。
忘れていくことすら忘れてく。
忘れてくことすら忘れてしまう。
そんな中で、おぼえる前に消えてしまう感情を、浮かんだよしなしごとを、書きとめるために文章を書いた。
書いた瞬間に忘れ書きとめることが目的であるゆえに、書いた瞬間その文字は推敲を経ることなくハードディスクドライブの中にじょうはつしていく。
忘れて行く以前の、思い出せない。
記憶した記憶すらなくしていくその瞬間瞬間の名残を書きとめ、
そうして忘れていく。
体内に澱のように溜まる言葉は、
ここちよく(なく)リズムを刻むが、
ギリギリのところで意味をなさない。
まるで、そのものすべてが意味をなさぬような。
めまいがめまう
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