Forgiven white blood/しろう
 
空を見渡すことができたことだ。
私は仰向けになって天を見上げている。
喉から迫り上がってくる血はなぜか活き活きと馨しいマグノリアの香りがして、あの村の虐殺の、人体の焦げる忘れ難い匂いを、この鼻腔はようやく消し去ることができた。そしてそれは私の血が必ずや地に注がれて、そのすべてが地に還るということを予感させた。

少なくとも『David needs fools soon』と言われることはなさそうだ。
私は神に赦されてシェオルへ入る。そう信じることができた。


赤道に近い砂漠地帯のこの天はどこまでも青く、太陽は限りなく白かった。
故郷で見るものよりもずっとずっと白かった。







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