わたしがシャンブロウだったとき/佐々宝砂
そら、なのか
から、なのか
どっちでもいいけど
「宙」と書いて「そら」と読ませるよりも
「空」と書いてなんと読むのかわからない
そんな曖昧さがわたしはすき
そら、だったのか
から、だったのか
どっちでもいいけど
あのときわたしはシャンブロウで
わたしの食べ物が何かくらいちゃんと知ってた
あなたの言葉がわたしに通じないってことも知ってた
からかいからまりからくれない
わたしは髪を赤く染めていたことがあって
わたしの髪は蛇みたいにいつもくねくねで
わたしの瞳は草の緑ではないけれど
わたしの目を覗きこんではだめ
わたしは吸血鬼で
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