7月、八月/salco
 
美しい7月

太陽はまた新しく耀いて
波涛を映して瑞々しく
熱した白いアスファルトの上を娘たちは
日一日と灼けて
ときめきに図太くなって行く
楽しい事なら何でも起こる
碧いカレンダーの中で
さざめきながら、
美しい7月

まぶしさに射抜かれて
日傘に隠れる亡霊達の喪失と羨望を
腕で跳ね返しながら未来へ投げ返す
ライムの中の戯れの夏
翳は未だ
薄紫の揺らめきを曳いてちらちらと踊っており
勇壮な夏空に組み敷かれて沈黙する時を
知らぬげだ

物憂いサイレンの鳴り響く8月
B‐29の
黒い蝿ほどの羽音が薄い雲間をよぎると
少年の堅い横顔も少女のすべらかな額も
[次のページ]
戻る   Point(10)