印紙/真島正人
 

やはりそこには
違和感
それだけが口を閉じて
鎮座している

海がきれいな
季節になってきた
人がたくさん現れて
そこを満たす
くらげはまだ
どこか遠いところで待機している
伝統工芸品のように壊れやすい
朝に歯を磨き
7番のバスに飛び乗る
しまった
夏なのに
ハンカチを用意するのを
忘れていた

(僕が書こうとして書けないものを
たっぷりとしみこませて
印紙はそこにあるだろう。
そこにあるそれが何かを驚かし
驚いた何かがすっころぶとき
僕はどこで身を震わせているだろうか。
そんなものが、「想像上」で炸裂し「想像上」は、大切なのにとりあえず無害なので
こんなにも、人々と、共存を許されてきたのだ。)

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