この雨の未明/ホロウ・シカエルボク
音が確かにした
まだ遠くだけど
かすかにしか聞こえないくらい遠くのところでだけど!
誰かが僕を木っ端微塵にしてくれるのを待っている
朝は来ないと信じるんだ
朝は来ないと信じるんだ
朝は来ないと信じるんだ
激しい雨はすべてを壊してしまう
脊髄を砕かれて僕は自分の名前すら忘れてしまうだろう
風に掻き毟られる木々の枝が
死神の笑い声を真似る
軒下で力尽きて今にも目を閉じそうな
瘠せた黒猫を迎えに来たのだろう
僕は目をぐるぐると回した
それを見た時の黒猫の気持ちは
きっと救いにも似たものなんじゃないかと思っ
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