この雨の未明/ホロウ・シカエルボク
 



ふたつ向うの窓を
開けることを夢見ていたよ
椅子に張り付いた
呪わしい身体を半ば見捨てながら


シングされるソング
穏やかな旋律ほど
ぞっとする狂気を秘めながら
そんなに長く響かせなくてもいいのに
そんなに長く響かせなくてもいいのに、そのビブラート
誰もそんな愛を
受け止めるほど立ち止まりはしないのに



窓の向こうは
激しい嵐で濡れていた
遥か彼方から叩きつける雨は
世界と僕に穴ぼこを空け続ける


ロック・ビートのせいで花瓶が振動している
階段に隠れた虫が優しい土を目指して脱げ出す
かみなりの音が
[次のページ]
戻る   Point(1)