ユスリカ/たもつ
昼間はゆらゆらと
国道の標本で遊んだ
すぐ側で乾いたアイロン台が
牛のように転がっていた
人の形をしたプラスチック製のものを
道路に並べて行く
ここには車が来ないので
安心していくつも並べた
点滅する信号はもはや
燃え尽きた身体の
ひとつの部位になってしまった
うまく笑えなくても心配はいらない
毎日とは
優しさとの戦いと
優しさに似たものとの妥協
その限りない連続なのだから
夕方になると
ユスリカの群れをかき分けて
ソフトボール部のキャプテンが
許しに来てくれた
なるべく言葉を選んで
丁寧にお侘びとお礼をした
ソフトボールなんて
したこともないのに
戻る 編 削 Point(4)