僕が描いた地球/朧月
月もみえない
星もみえない外にひとりいて
たったいっぽんの街灯の下にいて
携帯電話の明かりをみていた
つくられたひかりをたよりに
たぐりよせようとした
月のあった場所に
星のあるべき場所に
なんにもないから描こうとして
ふわりと浮き上がってみた
重すぎて飛べないから
ココロだけ置いてきてしまった
僕のココロは通りすがりの猫がくわえていった
気がかりなココロのことを
気にしないで描く月や星は
悲しみ色と憎しみ色の混ざったいやな景色になった
窓からみていたあのこが
ママ 月がへんだといった
ママは 星もへんねといって
しゃっとカーテンを閉めた
閉じられた窓のこちら側
汚れた月と星とに
見つめられた僕はうろたえて
もひとつ描いてごまかした
まあるい 地球を精一杯
綺麗な円にかいた
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