「路傍のいのち」/ベンジャミン
 
{引用=小さいものだから小さいと思うことは
なんて簡単なことなのだろう

車で仔猫をひいた

ひく前に
「ああ ひいてしまう」と、思う間があった
思ったとおり

何とも言えない音が伝わってきて
バックミラーに動かない仔猫が映っていた

最初に考えたことは
「猫が横切る方向と反対にハンドルをきれば良かった」だ
「猫は戻れないから反対にハンドルをきれば避けられた」だ
次に考えたことは
「自分はどれくらいの力でブレーキを踏んだのか」だ
「たとえどんなに力を込めても間に合わなかった」だ

そのまま逃げた

まだ生きているか確かめもせずに
いや、間違いなく生きては
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